技術・プロダクト
PXRD装置の自動化から始め、実験プロセス全体へ広げていきます。
粉末X線回折分析(PXRD)とは
材料の性能は結晶構造 ── 原子の配列 ── で決まります。バッテリー材料も半導体用コンデンサ材料も、同じ元素構成でありながら結晶構造の違いで性能が変わります。その結晶構造を調べる手段として不可欠なのが、粉末X線回折分析(PXRD)です。
inou! PXRD — PXRD装置の自動化
PXRDは粉体材料R&Dで最もよく使われる手法の1つでありながら、現在は全工程が熟練者に依存し、再現性と効率がボトルネックになっています。inou! PXRD は、前処理から解析・判断までをモジュール単位で自動化します。
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前処理
粉砕・混合・洗浄
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試料調製
秤量・充填・平滑化・試料ストレージ
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計測
測定条件探索・PXRD装置による測定
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解析・判断
高度解析ソフト・再計測/終了の自動判定
矢印の箇所はすべてロボット制御。モジュール間の搬送・受け渡しまで自動化しています。
自動実験ループの実演
粉末の充填から、試料ホルダーの搬送、PXRD装置へのセット、測定までを、人の手を介さずに実行しています。
私たちの技術的な強み
粉体材料を扱う自動実験を、全体設計から実装まで一貫して手がけられること。全体設計・解析・ソフトウェアに強みを持つ小野研究室の研究と、ハードウェア開発・装置統合の研究が融合して生まれた、4つの技術です(特許出願中)。
01. 粉砕の前処理 — 粒子径のオンライン推定
PXRD計測では十分に細かく揃った粉末が必要ですが、粉砕は「どこまで挽くか」の判断が難しく、熟練度の差がそのまま結果に出ます。粉砕中の振動から粒子径をリアルタイムに推定し、目標粒子径で自動停止します。
| 指標 | ロボット | 手動 |
|---|---|---|
| 繰り返し分布計測の相対標準偏差(D50, n=3) | 3.4 % | 3.0 % |
| サンプル間の相対標準偏差(D50, n=3) | 2.7 % | 9.3 % |
02. 試料調製 — ホルダーへの粉末充填
粉末をホルダーへ充填し、測定機器へセットするまでをロボットが実施します。手作業より少量の試料から高精度に測定できるため、合成できる量が限られる新規材料の評価にも向きます。
| 指標 | ロボット | 手作業 |
|---|---|---|
| 必要な試料量 | 80 mg | 300 mg |
| アナターゼ重量分率の相対標準偏差 | 0.7 % | 0.4 % |
出典:Yotsumoto et al., Digital Discovery 2024(下記文献2)。
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03. ソフトウェア連携による自動計測
装置メーカーの測定ソフトウェアは多くがGUI操作を前提とし、外部から制御するAPIがありません。キーボード・マウス操作そのものを自動化することで、メーカー製ソフトをそのまま活用します。
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04. 専門家レベルの自動解析
測定結果をデータベースと照合し、リートベルト解析を実行。参照データはユーザー側で追加できます。再計測するか終了するかの判断まで機械側で完結します。
論文
- Y. Nakajima et al., “Robotic Powder Grinding with Audio-Visual Feedback for Laboratory Automation in Materials Science,” 2023 IEEE/RSJ International Conference on Intelligent Robots and Systems (IROS), Detroit, MI, USA, 2023, pp. 8283–8290.
- Y. Yotsumoto et al., “Autonomous robotic experimentation system for powder X-ray diffraction,” Digital Discovery, 2024; 3(12): 2523–2532.